今日の夕餉の担当は、俺と翼鬼と天鬼君だった。


いつも通りの質素なご飯を作って。


いつも通りご飯を食べて。


…食べれると、思ってた。


気がつくとなぜか、翼鬼の料理の腕の話になっていた。


「翼鬼って何が作れたっけ?」


「あたしは…結構作れると思うけど」


翼鬼は大根の皮を包丁で器用にむきながら言う。


翼鬼はどういう風の吹き回しか、「あたし」と言うようになった。


もう、偽らなくてもいいからかな。


俺はどっちでもよかった…って言ったら嘘だけど。


呼び方だけで何も変わらないし。


翼鬼は翼鬼だからね。


「結構って…。一番得意なのは?」


天鬼君が尋ねると、翼鬼は考える素振りを見せた。


「うーん…なんだろ…。…カレー?」


かれー?


「何、それ」


未来の食べ物かな?


「辛くて、ご飯にかけて食べるの」


天鬼君が説明してくれるけど…分からない。


「まあ、生きてればそのうち日本に入ってくるって」


…なんかはぐらかされた気がしなくもない。