そんな平助くんを、ニヤニヤと見る。
「イタズラしてるんだから、逃げちゃダメだよ~。ねぇ、魁先生?」
「っのやろ…!やってやらぁ、その名に恥じないようにな!」
おっ、本気になってくれたみたい。
平助くんも桶を持ってきて、沖田さんと翼鬼に水をかける。
…そろそろ、僕も行こうかな。
三対二になってるし。
「翼鬼、ひしゃく貸して!」
「ほら!来るの遅い!」
「ごめんごめん、でもこっからは本気だからね!」
僕は顔を狙って水をかける。
「なっ、天鬼ずりぃぞ!」
原田さんが怒るけど、気にしなーい。
「うわっ、永倉さんズルい!」
「天鬼だってやってるじゃねぇか!」
どうやら、僕がやったことを新八さんが翼鬼にやったらしい。
「……総司、天鬼。桶貸して」
あれれ、翼鬼、怒っちゃった?
「はい、どうぞ」
明らかに、翼鬼の顔が黒い。
「あたしに刃向かったこと、後悔させてやるよ…」
そう言う翼鬼の笑みは、とてつもなく黒かった。
あっははは、見物だね。
「ちょ、翼鬼待て!」
「永倉さん…今さら逃げようったってムダだよ…?」
「こぇえから!」
翼鬼は逃げようとする新八さんの頭上に、飛んだ。
「飛ぶとかズルいだろ!」
「知らないよ、そんなこ、とっ!」
「うわぁぁぁぁ!!」
ザッバーン…。
新八さんの顔に、水がふりかかった。
「ご愁傷様」
ニヤッと笑った翼鬼が、ふわりと舞い降りる。


