「早く解放しちゃいなよ...」

『い、やだ...』

トキオは、不敵な笑みを浮かべながら
俺に手をかざした。

殴られる!

そう思った俺は
手でガードした。

『...。』

予想に反し、
拳は飛んでこなかった。

トキオは、俺に手をかざしている。

「いくよ...!」

そう言った瞬間、
トキオの掌は輝きだした。

ッボ

黒い球体のようなものが
トキオの掌から放たれた。

俺は男受け止めようと手を出した。

ッッッド

俺の手が触れた途端に球体は破裂し
辺りの草は全て細切れになっていた。

俺は...傷一つついてなかった。

「...やはり守護されているか」

『い、今のはなんだ!』

「そんなことは今言う必要はない。力を出さないと言うなら、この力で君のまわりの人々を全て切り刻む」

『...なに!?』

「ほら、まわりを見てみなよ...君こそ無傷だが、他は全て細切れだよ。これを普通の人間が浴びたら、どうなるかな?」

ニヤっと笑みを浮かべ
不気味にそう言った。

『やめろ、他は関係ねぇだろ!』

「ふふ...気配でわかるよ。解放し始めたね、怒りがほとばしってるね。じゃ、君が解放しきるまで僕は君の友達を切り刻んでいるよ」

『ま、待て...っぐ、、』

また、あの声が...

『待、てぇ』
--待、てぇ--

急に激しい頭痛がし始めた。
喋ることすらできなくなった。

『...が、ぐぁ、、がぁ』

「な、なんだ...この気配、とてつもない、」


『...き、貴様!』
--キ、キサマ!--

口が、勝手に声を発する...

怒りだ...。また、
あのとてつもない怒りが
俺の頭の中で渦巻いている。

殺したい...
あいつが憎い...

「この力...なんて強い怒りだ。いったい何がついてるんだ...?」

『ぐっ...』

頭が痛い。まるで、
何かが脳を掻き回してるようだ...

『ぐ、がぁぁぁぁぁぁ!!』

そのとき、俺は何かを感じた。
俺の身体で何かが起きた。

『...。』

落ち着いた気分だ...
まるで全てを悟ったような、
そんなような気分だった

「これは...レベル2だと...?」

トキオは何やら驚いた表情をしている。

ッス...

「な、はや...」

ゴンッ

「ぐぁぁぁ!!」

俺は一瞬でトキオとの間合いを詰め、
腹の奥ふかくに拳を沈めていた。

『......。』