「やめて、雷太!それ以上はダメ!!」
俺が持つ電気を纏った鉄パイプが
男の頭蓋骨を叩き割る寸前、千夏が叫んだ。
『ハッ、』
我に返った俺は怖くなって
鉄パイプを放り投げた。
ウーーウーー
そこへサイレンの音がなった。
先生が最後の力で警察に通報していたらしい。
男は逮捕された。
男のけがを見て、
警察に事情をきかれたが、
千夏をはじめ、クラスメートや先生も
俺のことは話さなかった。
男はどうやら、彼女にフラれて
友達の家で酒を飲んだ帰りに
たまたま目についた学校に入り込んだそうだ。
それだけのことでたくさんの人を
危険にさらすなんて...
多数の負傷者は出たが、
男の逮捕で事件は一件落着となり
俺たちは下校することができた。
『ただいま』
「おかえり、大丈夫だった?怪我は?」
『俺は平気だから、』
親との会話もそこそこに、
俺は自分の部屋にいき
ベットに横たわった。
あの声はなんだったんだろう
声をきいた瞬間、怒りが溢れてきた。
いままでに感じたことのなかった
強い怒りがとめどなくわいてきた。
俺はどうなってしまったんだろう?
そんなことを考えていると、
ピロリロリン...♪
楽しそうな着信音とともに
メールが二通届いた。
ひとつは千夏からだった。
sub:どうしたの?
TEXT.
今日はどうしたの?
なんか、雷太じゃないみたいだったよ
---END---
俺じゃないみたい...?
確かに、あのとき俺は
自分であって自分じゃなかった。
そう思いながら、
もうひとつのメールを開いた
知らないアドレスからだった
sub:無題
TEXT.
とき川土手にこい。
お前の知りたいことを教えてやる。
---END---
俺の答えは決まってる
『行くしかない...』

