―数日前―

「お前なんぞに跡を継がせるものか。私が愛したのはお前ではない。悔しくもお前に半分流れる我が娘の血、それだけよ。もう半分を流れるは、ドス黒く、薄汚いあの男の血。なんと汚らわしいことよ。この―」

がばっ!!

「ハァ…ハァ…」

汗まみれの青年が金造りのベッドから起き上がると、レースの付いた窓からは陽射しが射し込んでいた。

「夢であったか…。」
窓を開け、小鳥のさえずるを聞くと、青年はようやく安堵についたようだった。間もなくして扉を叩く音がした。