その男は
「うっ、うっ。」
と小刻みに息をするだけだった。しかし、
その犬は
禍々しい邪念に満ち満ちていた。その姿を見たものはすぐに悟るであろう。

この城の惨劇の元凶はこの犬にあると。

「ウォーン。」
またも聖堂から遠吠えが聞こえた。