「エミル…」

王は静かに囁いた。


エミルはほっと安堵の溜め息をついた。
だが、彼女は甘かった。

犬は抗っていた。そして、王を包んでいた心地のよい何かを、すぐさま一蹴してしまった。

さざ波を消すが如く、復讐の高波によって。