「…王様…!!」

エミルが驚きの声をあげた。周りの者も悲鳴をあげた。

「しっかりなさってください!お気を!お気を確かに!」

老婆は無謀にも犬となった王を抱き締めた。
犬はウーと呻きをあげた後、老婆の喉笛を噛みちぎろうと口を大きくあけた。

それでもエミルは王を離さなかった。