エミルは首を振った。そしてなおも必死に反論した。

「いけません!あなたは間違っている!あのお方は復讐など望んではいない。あのお方はおっしゃいました。あなたを一目見るまで生き続けると。最後に会ったとき、まだあなたは姫様のお腹の中にいました。その事実を知ったあのお方は確かにおっしゃったのです。」

『私の子供がいつしか王になる時が来るかもしれない。もしそのような世まで生き続けれることが出来れば、一目でも見ることが出来るかもしれない。その時が来たら、その子に伝えよう。人の優しさを。このような歴史は二度と繰り返されてはいけない。だからこそ、必要なのだ。人の優しさが。そして心から望んで託そう。この国の平和を。それまで私は生き続けます。あなたは私の代わりに、姫と、子供をその日まで、見守っていただけはしませんか。』