エミルだけは味方であって欲しかった。

エミルだけは信じたかった。


「間違いないな!!」

感情の爆発を、王は抑えることが出来なかった。

エミルは決心したかのように軽く頷くと、涙を拭いしっかりと言った。


「間違い、ございません。」


その瞬間、特別な人は、復讐の対象者に変わった。


王は体を2、3震わせると声にならない声をあげた。


「お前だけは…信じたかった。」

そして、王の目からも涙がポロポロこぼれでた。


「そのことについては、私は如何なる罰も受ける覚悟です。実は…本日私の口から申上げるつもりでしたのですが、まさか、王が全てをお見通しでいらっしゃるとは…思いませんでした…」


エミルは丁寧に、言葉をゆっくりと繋げた。

「言い訳は…しないでくれ。心が…苦しい…」

王は悲痛な顔をした。精神がすぐにでも飛んでしまいそうだった。

エミルは口を閉ざした。そして、王の顔を見つめた。