三番目の小部屋。そこにはこれまで以上に奇妙な光景があった。薄暗い部屋の中、ドアのすぐ前にはまたも死体があった。しかし、この死体はここに来るまでのものとは大きく違っていた。まず、頭には鈍器で殴られたような痕があり、そこから血が流れ出ていた。しかし、その血は乾いていた。また、他の死体と比べると、明らかに腐敗が進んでいた。また、黒いマントのような装束を、しっかりと身に付けていた。裸ではない。
その顔は不適に笑っているようにみえる。舌は出ていなかった。
不気味な笑顔を浮かべた黒装束の腐敗した死体。皮肉なことに、その死体が城内で一番人間的にみえた。そして、その隣にはさらに不可思議な現実があった。