彼にはもはや、祖父の怨念は憑いていなかった。そのかわり、復讐という新たな怨念が、彼の指先にまで、その色を染めていった。


あれは事実だ。


私の父は、犬となって生きていた。


私は犬の子だった。

メラメラと体が燃えたぎるのがわかった。
復讐に彼は全身を取り込まれていた。

彼は王の証であるマントを手にとると、それを口に運び、びりびりに噛みちぎった。

それを終えた彼の口からは、舌がだらりと垂れていた。


それは城の滅亡の幕開けだった。