部屋の手前には様々な拷問器具がうす汚れて置かれていた。

そして、その奥には裸に首輪をされた男が鎖に繋がれていた。
男のすぐ横には白骨化した死体が首輪がついたまま横たわっていた。糞尿はそのまま放置され、残飯よりも酷い食物が皿によそわれていた。人が生きる環境とはかけ離れた空間だった。

しかし、


それでも男は生きていた。


肉の全くない、背骨がむき出しの体躯を、四つん這いになりながら、わずかに上下させていた。そうして

「うっ。うっ。」

と声にもならない小さな呻きをあげながら、脆弱な呼吸をしていた。


父はまだ…生きて…いた…