階段を降りきると、五つの小部屋が横一列に並んでいた。それぞれのドアの前には松明があったが、灯されているのは手前から三番目と奥の方だけであった。階段手前にも松明があり、男がそれを手にとると、予想通りの卑しい笑みがこちらを向いた。

「罪人は何人いるのだ?そしてその罪状は?」

王は震える唇をギュッと噛んだ後、思い切って聞いてみた。

「現在、ここには一人しかおりません。また、ここに来る者がなんの経緯で、どのような罪を持って来るのかは存じあげません。私は、王…いや、先代様に罪人達を見張るよう命を受けただけでありますので。しかしながら、ここに来た以上、重罪も重罪、決して償いきれない罪を背負ってることに間違いございませんな。」

男はしゃべり終えるとまた、卑しい笑みを浮かべた。

「死人は…出たのか?」

王は重みのある声で男を見据えた。しかし、男は鈍いようで嬉しそうにまた口を開いた。

「ここに来た者には死より辛い罰が待っております。死んだ者はむしろ幸せでしょうて。」


今度浮かべた男の笑みは下劣極まりない得意顔だった。