彼の八歳の誕生日の時、その憎しみは痛烈に牙を剥いた。
城の者が一同に祝福をあげる中、たった一人祖父だけが彼と向き合わなかった。
皮肉にも彼の誕生日は、その母親の命日を意味していた。
王の命により、表立って誕生日が礼式に沿って祝われることはなかった。一国の王子はパーティーも何もなく、むしろ謙虚に控え目にその日を過ごさなければなかった。それでも彼の部屋にはこっそりと城の従者が祝いの言葉を述べにきた。それだけで彼は満足だった。
その日も何人かが彼の部屋を訪問し、祝福し、贈り物を置いていった。
そして日も暮れて来た頃、静かにまたノックが鳴った。
彼は喜んで来客を招きいれようとドアを開け、瞬間、これまでにない恐怖を覚えた。

そこには禍々しい顔をした王が立っていた。
『悪魔…』

彼がそう思うのも無理はなかった。
悪魔はこちらをきっと睨みつけると、なぶるような口調でこう言った。

「父親と同じ目に合わせてやろうか?」