あの言葉がいつまでも消えない。
頭の中から。
心の奥にまで。

―犬の、子……

また、あの悪夢か。

夢の中で王はその予感を噛み締めていた。

しかし、幾分余裕が出て来たのか、その夢はいつもとは少し違うものだった。

―犬の子…

―犬の子…

心に何度も響くその声について、王は夢の中で冷静に考えることが出来た。
『犬の子』とは何か。それは彼の祖父が、ありったけの憎しみを込めて彼に言い放った言葉であった。なぜ、自分はそんなにも憎まれ、罵られるのか。それには彼の父親が問題であることは明白だった。