「だい…じょうぶだ。」
王子はエミルを制すとマントに歩み寄り、手に取ると、荒っぽく無理矢理に羽織った。
「やはり、少し休まわれた方が…」
エミルはオロオロしながらも、必死に王子を気遣った。
「問題ない!!」
声を荒げて王子はそれを遮った。

「…すまない。やはりちょっと疲れているようだ。少しだけ休むとするよ。」
王子はソファに座り込むと、呼吸を整えながら、落ち着きを取り戻すように言った。

「しばらくしたら、また来ますね。」
エミルは必死にニコリと笑うと、部屋を後にした。小鳥のさえずる爽やかな朝に、とてもふさわしくない光景であった。