「お前なんぞに跡を継がせるものか。私が愛したのはお前ではない。悔しくもお前に半分流れる我が娘の血、それだけよ。もう半分を流れるは、ドス黒く、薄汚いあの男の血。なんと汚らわしいことよ。この―」

―この犬の子めっ!―

衝撃的な言動。決して大声ではないが、とても重たく、攻撃的な声。恐ろしい形相。それは夢の再現などではなかった。痛烈なほど目に、耳に、五体に突き刺さった王子の記憶。亡き祖父の生前最後の言葉。断末魔の叫びであった。