「それでは、早く支度をしましょう。こちらにお着替えになってください王子。いえ、今日からは王様ですわね。」
「よせ、エミル。仰々しい。」
王子は寝巻きを脱ぐと、エミルが用意した吉良びやかな衣服、マントを手伝われながら着替えた。かつて、その祖父が身に付けていた、眩しいほどの紅色のマント。そのマントを羽織る最中、ズキンと祖父の言葉が心を打ち、頭の中で何度も響いた。