―コンコン―

「お目覚めになられましたか?」

ノックとともにしゃがれながらも温かい声が聞こえる。

「ああ。」

返事をきくとイソイソと部屋に老婆が姿を現した。

「何か、ございましたか?」

青年はぼんやりと城下町を眺めていた。

「悪い夢をみてな。」

朝食の用意に町では煙突からモクモクと煙があがっている。

「また、ですか…」

老婆は青年の身を案じて悲しそうに下を向いた。

「ここ数えるうちに色々なことが起きましたからね。きっとお疲れになっているのでしょう。もう少し、おやすみになりますか?」