少女Sは町で人気者の少女で、僕が彼女に気に入ってもらえるのは偶然にも近かったのですが。


互いに羞恥を覚え、それを乗り越える程の年月を彼女と過ごしてきました。


少女Sは常に僕と一緒でした。


しかし、少女Sは出会って間もない頃から何かに怯えるようになりました。


町の者が誰かを知らない事に安堵しては、銀瑠璃のようなその瞳に影を落とすのです。


僕は彼女の悲しい顔は見たくありませんから。


今後も黙っていることにします。


僕――少年Jの隣には、常に少女Nがいることを。



少年J