無言で2人のそばまで行くと


「黙れ。」


パシーンと美利亜は実奈に平手打ちを食らわせた。


「何す。」


実奈の言葉を美利亜は遮った。


「人の価値なんて誰かが決めていいものじゃない。」


「凡人が何を偉そうに。」


実奈は拳銃を握りしめると


「ここは凡人が首を突っ込んでいい世界じゃないんだよ!」


美利亜めがけて発砲した。


玉は美利亜の二の腕を掠めていった。


それでも美利亜は動じなかった。


代わりに美利亜は首から下げていた小さな縦長の笛をくわえると


「この会社、終わりだね。」


そう言って笛を吹いた。


が、音は鳴らなかった。


「はっ。ただのフェイクってわけ。所詮ただの凡…っ!」


実奈はドアのほうを見て固まった。