あれ?『王様』?
トイレ探してるのかな?
「王さ……桐沢!なにしてるの?」
「ん?」
話しかけると彼は振り向いた。
「……倉田」
「トイレは反対方向だよ?まあ確かにこのファミレス構造が複雑だけど……」
「別に迷ってるわけじゃねぇから。帰るんだよ」
「ああ、なんだ…………ええっ!?」
か……帰る!?
今帰るって言った!?この人!!
「なんで!?」
「なんでって……はぁ、めんどくせぇ」
あんたが帰ったらあたしはここにいる意味が無くなるんだから!……とは言えない。
けど、このままじゃ困る!!
「いや、ほらっ!せっかくみんなで楽しくやってるんだし!!勿体無いじゃん!それにもう夜遅いし一人で帰るのはあぶな……」
ってあたしは何言ってんだ!?
「……ぷっ」
「!?」
何故か吹き出された。
「くくく……少しは整理して喋れよお前」
「へっ?あ、や、ええと……」
笑った顔はやっぱり『王様』というより『王子様』だった。
か……かわいい……。
胸がキュッと苦しくなる。
「行くか?」
「……え?」
「俺が一人で帰るのは危ねぇんだろ?」
それは混乱してつい言っちゃっただけで!
「じゃあ倉田が俺を守れよ」
「はあ!?」
「……いいから来い」
「ちょ、待っ……!!」
こうしてあたしと王様は、合コンを抜け出したのだった。
