「……『王様』だ」
「『王様』が来たぞ」
「うわっ、やっぱりかっこいい……」
「芸能人みたいなオーラだよね」
「さすが『抱かれたい男No.1』……!」
そんな会話がチラホラ耳に入ってくる。
しかし当の本人はそれを全く気にすることなく、席に着いた。
「ふわあっ……」
そして欠伸をひとつ。
寝る。
そんななんてことない動作でも、周りの女子を虜にしてしまうのが彼だ。
「はあ……絵になる……」
「あの背中に抱きつきたい……」
「頭を撫でてあげたいな」
「いっそ机になりたい」
そしてあたしも、例外ではない。
「かっこいいなぁ……」
桐沢帝。通称『王様』。
『立てば王様 座れば王様 歩く姿はもちろん王様』
このことわざの語源になるほどの(あたしが今テキトーに考えたんだけど)人物だ。
容姿端麗、文武両道。そしてその立ち振る舞いから、彼は『王様』と呼ばれている。
学園の憧れ的存在なら、普通は『王子様』と呼ばれるのでは……?
その気持ちは分かる。
けれど、彼の場合は『王様』なのだ。
誰がなんと言おうと。
その理由はもうすぐ明らかになる。
