あたしは人生の窮地に立たされていた。
放課後。
夕日に染まる教室。
彼氏と二人きり。
近い距離感。
字面だけ見ればまあまあロマンチックなシチュエーションだ。
けれどあたしは今ロマンチックな気分ではなく、とりあえずよく分からない冷や汗が流れていた。
「……え?意味分かんないんだけど」
「だから、俺を奴隷にしろって言ってんだよ!」
『だから』の使い方がおかしい。
内容が全く理解できない。
「ええと……奴隷って、あの奴隷?」
「その奴隷」
「なんで……?」
「なんでって、分かんねぇのかよ」
分かるか!
「俺がドMだからだよ」
……もうさっぱり分からん。
けれどあたしの波乱の高校生活は、ここから始まったのだった。
