「なぁ、夕日超綺麗だぞ。見てみろよ」
「ほんとだ!すごい綺麗!!」
「あけぇなー」
遠くからは吹奏楽部の音色が。
教室から見えるグラウンドでは野球部が汗を流していた。
そして隣には、あたしにはもったいないくらいの美形な彼氏が。
「そういや、もうすぐ夏休みだな」
長い睫毛が微かに揺れ、透き通った瞳があたしを見た。
「どっか行く?」
「海!泳ぐの好きだから!」
「……海?」
「海!」
「海?」
「海!」
「…………」
なぜか黙る桐沢。
「……考えとくわ」
「えー!?なにそれ!」
「まあまあ」
ポンと頭を撫でられた。
「俺の気が向いたらな」
「なにそれ……もう」
「……俺の名前分かるか?」
「はあ?」
いきなり何言ってんの?
「分かるに決まってるじゃん!帝でしょ!?」
「呼んでみて」
「帝?で、いいの?」
「ああ。もっかい」
「……帝」
「うん」
「帝」
「うん」
…………え、なに?
