君は“えむ”彼氏!?



「昨日は殴ったりヒドいこと言ったりしてごめんなさい!!お詫びに……」

「いや、別に謝らなくていい」


……へっ?



「それよりも大事なことを言いてぇから」


あたしは頭を上げた。


「な、なに?」


そして教室中の視線が集まる中、彼は口を開いた。





「昨日の倉田のパンチに惚れた。好きだ。俺と付き合えよ」






…………えっ?






「「「ワアアアアアアアアア!!!」」」



教室が歓声に包まれた。


「やるなぁ桐沢ぁ!」

「桐沢かっこいい~~!!」

「桐沢に告白されるなんてあんたすごいわね!!」

「俺も倉田狙ってたのにー!!」

「倉田っ!早く返事してやれ!!」



え?え?え?

なに?なにこの空気?


助けを求めようと奈美に視線を送ると、なぜか笑顔で親指を突き立てていた。


「玲香!よかったね!」という声がテレパシーで聞こえてきた気がした。





「桐沢!!桐沢!!桐沢!!桐沢!!」

「倉田!!倉田!!倉田!!倉田!!」



よく分からないコールが始まった。

教室は異様なテンションだ。

あたしは恥ずかしさから前を向くことができなかった。



「……倉田、早く答えろ」



そんな中、桐沢の声はとても落ち着いていた。


するとグイッと肩を掴まれ壁に押しつけられた。
そして顔をムリヤリ正面に向けさせられる。


「わっ!?」

「まあ返事は『はい』以外認めねぇけど」

「あ、あの、ちょっと待って!!」

「待てねぇ」



超至近距離に桐沢の顔が近づく。

ケガをしているとはいえその美貌はとどまることを知らず、あたしの胸を射抜くにはそれだけで充分だった。

心臓がおかしくなりそう。呼吸が上手くできない。頭がクラクラする。






もしかして、



……これが『恋』なんだろうか。






「ラストチャンスだ。俺と付き合え。返事は?」






もはやあたしには、選択の余地は残されていなかった。






「……はい」







再び教室で歓声が上がった。