君は“えむ”彼氏!?



その途端、教室がざわつく。


けどそれはいつもの『王様』に対してのざわめきではなく。


「え……なにあれ」

「桐沢、どうしたんだ?」

「……喧嘩でもしたのか……?」

「あの綺麗な顔にケガを!」



頬や首に湿布を貼った、痛々しい姿にだった。


彼はいつもなら教室に着いたらすぐ居眠りを始めるのに、その時はなぜか自分の机を通り過ぎあたしの方へ向かってきた。


「……倉田」


「っ……!」


な、なんでこっちに!
いや、理由は分かり切ってるんだけど……。
どうしよう!?
やっぱり、あ、謝らなきゃだよね!
やり過ぎちゃったもんあたし!!
許してくれるか分かんないけど……謝らなきゃ!!


「……玲香」

奈美が心配そうにあたしを見る。

「だ……大丈夫だよ……けど念のため、あたしから離れてて」


……よし、覚悟はできた。
「昨日は殴ったりヒドいこと言ったりしてごめんなさい!お詫びに好きなだけあたしのこと殴っていいから!!」……決めた。これでいこう。



「倉田。話がある」



あたしは息を吸い込み、深く頭を下げた。