「……新野は…、誰にでもいい顔するのに、それって冷たいんじゃない?」
「……?は……?」
「私だって、気になる人がいても…自分から聞くのには相当勇気がいるし、きっとできない。」
「…………。」
「『どっちでもいい』なら別にそんなこと言わなくたっていいじゃない。」
「……なんでお前が怒るんだよ?」
「怒ってない。」
「はあ?めちゃめちゃキレてんじゃん。」
「……それは、新野が鈍感だからでしょ!」
新野に対する気持ちは……
咲も、私も同じ。
これが立場が逆だったとしても……
新野はきっと、同じことを言うだろう。
めちゃめちゃ……
傷つくよ。
「…鈍感なのはどっちだよ。」
「…………。」
え………?
「……勝手にしろ。」
くるりと踵を返して。
新野は自分の家に向かって…引き返していく。
「………なによ……。勝手にするよ!!バカっ!!」
新野は返事もしなかったけど。
足早に去るその背中が……怒っていた。
「………なによ……、もう……。」
折角今日……
楽しかったのに。
最低の締めくくり………。
大馬鹿は……
私の方だ。


