ゆきんこ

玄関前……。



「わ。雪ぼっこすごいし!」



私は、長靴の裏についた、雪の塊を…


石段で削り落とした。






「……おじゃましま~す。」




新野の家の中…。




これは予想通りに広くて……



ちょっと、圧倒された。





「新野んちって…お金もち?」



平屋の一戸建て。



新築ではなさそうだけど…、
和風の…

気品ある感じの家。





そろそろと歩みを進めて……




キッチンに入りこむ。





「……わあ……。」



対面式のキッチン。



どこかのバーみたいで……



ぶら下げられた、フライパンやら調理器具が、よりそれを演出していた。




「…………。」


ここだけ洋風なのが…、不思議。




沢山並ぶ調味料。


新野のお母さんは、きっと料理が好きな人なんだ……。



「……『クレイジーソルト』?」



面白い名前の調味料。





「……家とは大違いだなぁ……。」



すっかり酔いしれて……



冷蔵庫を開ける。




「……これかな?」



炭酸飲料を取り出して……。




名残惜しい感じもしたけれど……




新野が待つ外へと、足早に向かった。








「にいのーッ!炭酸ってコレ?」



「そうそう、サンキュ。こっちに登って持ってきて!」



「……マジっすか……。」



「…俺も行くっ!!」



陸くんが待ってましたと言わんばかりに…飛び跳ねる。



「そっちに梯子あるから…気をつけてのぼれよ。」



「は、は~い……。」






小学生以来に……



登ることになってしまった。