ゆきんこ

「…えっと…スノーボードじゃなくて?」




『いや、それも楽しいけどさ。わが家の屋根の上も勝ると劣らず……。……駄目?』




強引だ……。


強引すぎるけど……!



今の聞き方、可愛すぎるでしょ。




「……家……どこ?」



『迎えに行くよ。いつも俺らが別れる場所で待ち合わせはどう?』



「……わかった。」



『どんくらい時間かかる?』



「……急げば…、15分。」



『わかった。じゃー、15分後に。』



「…はーい。じゃあまた後でね。」





電話を切って。


携帯を持つ手が………


カタカタと震えた。




ある意味……


ど偉いことになってしまった!



弟くんのお相手とはいえ……



新野の家!!



しばらく浮かれていたけれど……


いかんせん、時間がない!





寝癖は帽子でごまかせる。


雪の中だし……


うん、動きやすい格好でいい。



多分途中で暑くなるから……


マフラーはいらない。



あとは、雪焼け防止に日焼け止めクリームを塗って、


眉毛をかいて……






よし、準備完了!!



……て、好きな人に会いに行くのに……



こんな格好でいいのか、私。





「…ま、いっか。」



新野はあんまりそういうの、気にしなそうだし。




「…おっと…行かなきゃ!」






家を出ると……



一面の銀世界。



さっきまで恨めしかったこの景色。



……が、なんともゲンキンな私は……



この雪に、ひたすら感謝するのであった。