「…全く…、『付き合え』ってこーゆーことね?ホント、紛らわしいってかなんてゆーか。」
人だかりの購買前。
食欲ない私はげんなりしながら……、
しぶしぶと、その列なき列に並ぶ。
「…コラ。まどろんでないで早く手ェ伸ばしてよね。」
「……ハイハイ。」
…チョコチップね。
目を凝らして、その姿を探していると……
すぐ隣りで、こっちを振り向きもしないで。
「さっきの話の続きだけど……」
「……え?」
咲が、話の口火をきった。
「……アンタさ、もしかして……好きな男、いるとか……?」
ぴたり。
私の……手が止まる。
「……私が思うに。アンタが学校で仲良くしてる男子って文人くらいだと思ってるけど……、その文人じゃないっていうんだから………」
……どきどきっ。
「待って。私、好きな人いるなんて一言も……」」
「…アンタの好きな、『仮定話』だから最後まで聞きな。」
おうっ……
バッサリ。
「……ハイ……。」
「……で。そーなってくるとだね、他にアンタと関わりがあって……好きそうなタイプっていうと……」
「……………。」
「……そうだなあ、バスが一緒の南校生あたりかしら。」
「えっ?」
……『えっ?』って…。
あれ?
今、私……
声に出てた?
咲は一度…、私の顔を見た。
私はふるふると首を振る。
二人目配せをして。
くるりと後ろを振り返ると………
そこに立っていたのは……


