ゆきんこ





文人の後ろ姿を……


なんとなくチラ見していた1限目。





その終了の鐘が鳴り響くのとほぼ同時に……。




物思いに耽る暇さえ与えずに、咲がズカズカとこちらへと向かってきた。





そして……、無言のまま、必要以上に……



顔を近づけてくる。





「……な、なに……?」




顔を退けて。



私の警戒度はアップする。





「……付き合ってもらおーか。」



「………?は……?」



『誰』と……?
ってか、脅し……?!




「こっち来いや。」


「……は、ハイ。」





それはまるで、『かかって来いや~』と、高田〇彦のような口調でもあり…



思わずふき出しそうになりながらも、咲の後ろについて廊下へと出た。



咲はスタスタと無言のままで……



廊下をつき進む。



一体…どこまでいくんだろう?




私が咲の隣りを歩くと。
彼女は少しペースを上げて……



私よりも、前に出る。




………ナニこれ。



私はちょっぴりムッとして……



また、咲の横に並んだ。



すると……



やはり、それを許さない。





……しまいには……



どこに向かうのかなんて、お構いなしで………





追いかけ追い越しの競歩大会。




周囲の人達がくすくす笑うのを尻目に……





どうでもいい争いをしながら、




わかってしまったゴールへ向かって……歩みを進めていった。