いつのまにか、冷風が温風に変わってのか。
それさえも…気づかずに。
汗ばむ指先を絡めて。
会えなかった分の、募る想いを…ぶつけ合った。
初雪は……今宵やむことはなく、
静かに、こんこんと…私たちが乗る、車ごと…包み込むようにして。
優しく…降り続ける。
ん……、待てよ。
「……っ新野…。」
「……新野ってば。」
「……………。」
ブッ、ブッ…ブー!!!
クラクションを鳴らして、そこでようやく…新野の唇が離れる。
でも、恐ろしいくらい落ち着いていて、最後に…チュッと1つキスを落とすくらいの…余裕アリ。
「なに?」
にこりと微笑む顔、その眉間に…シワが寄ってはいるけど…、ね。
「こんなことしてるうちに、雪に埋まって窒息死しちゃう。」
「………。」
「…ほら、よくニュースで見るじゃない。車で寝てて、亡くなったってニュース。」
「……アンタ、そういう知識はあるんだ?」
「だから…、もう出発しよう?」
「……どこに?」
「どこって……。」
「幸。それよか、違う心配した方がいいんじゃない?」
「え?」
「もう窒息しかけてたんじゃねーの。」
「………。……誰のせいよ、誰の。」


