「いいもんだな。いっつも…、その白ボンボンが揺れるのばっか見えてたけど。今日は…アンタが見える。」
「……新野…。」
「タイムマシーンであの頃の自分らに言いに行きたいわ。後ろばっかみてんじゃねえ、って。」
「新野こそ。過去の自分を…後ろを振り返ってるじゃない。」
「……。……やっぱ、先を…見たいかな。この後、俺らがどんなリアクションとるのか。」
「……どんなの…かな。」
「…そりゃあ、願望としては……」と。
そこまで言い掛けて、新野はこちらへと…近づいて来る。
目の前で、腕を大きく広げて。
そのまますっぽりと……覆い被さるようにして。
ぎゅっと、力強く…私を抱いた。
「できれば、こーいう未来。」
奇遇だね…、新野。
私も同じ未来を…夢見てた。
現実に叶えようだなんて、想像も…できなかったよ。
全てのモヤモヤが…浄化されていく。
優しい、優しい…ハグ。
「アンタは…樹氷か。すんげー冷たいし…。」
首もとで静かに漏れた新野の吐息が…ジワリ、と。
凍りつくように冷たくて、硬直した身体を……温かく、熱く溶かしていくようだった。


