ゆきんこ



駅の駐車場に、車を駐めて…

新野の到着を待つ。



ガンガンにつけている暖房に、眠気が襲って来ることは…もうなかった。



今度はしっかりと…スマフォを握りしめて。
彼からの連絡を逃さぬようにと…誓う。



また、空からは…雪。
今度は大粒の、雪。


フロントガラスへとしきりに降り注ぐそれは、いくら降ろうとも…積もることはないけれど。


私の想いを推し測るような…募らせるような…降り方をする。




待ちきれない。



そう思った私は…車を降りて。

駅前のバス停へと、向かう。



屋根だけついた…その場所は、吹きっさらし。
風が吹くたびに…雪を運んで。



冷たくなっていく手足をそわそわと動かしては…僅かに暖をとった。





初めての場所。

見慣れぬ…時刻表。




久々の…雪の日。




ここに彼が来ることは、まだ…現実味帯びては…来ない。









そういえば、バスから降りる彼を…こうして真っ正面から迎えるのは初めてだ、って気づいた。


前は……そう、

私が先にバスから降りて。


手袋をつけるのを…理由に、新野の後ろ姿を確認してから…歩いてた。




久しぶりに会う緊張は、もちろんある。

けれど…それよりも。



どんな顔して迎えるのが正解かが…わからなくて。

戸惑いの方が、勝ってる。



ちゃんと……笑えるのだろうか。

会えた嬉しさで…泣いちゃったりして。。

駆け寄って、ハグなんてしたら…晒し者になっちゃう?
むりむり、元々そんな乙女ポテンシャルないし。



そんなことを…延々と、悶々と…考えているうちに。



遠くから、眩しいライトが…2つ。
雪景色を、ぼんやりと、幻想的に…照らす。


スポットライトを浴びたそれが、キラキラと…美しさを際立たせて。


この、再会のシーンを…華やかに、演出しているようだった。



ゆきんこへの祝福。


そんな悦に…浸りそうになるくらい、私は…舞い上がっていた。