ゆきんこ



コンビニで、眠気覚ましにと缶コーヒーを買った。

エンジンをかけたままの暖かい車内で、ぼうっと窓の外を眺めながら…それを一口含むと。


身も、心も、芯から暖まってくる。



コンビニの前には、大きなクリスマスツリー。
ペットボトルのタワーに電飾を施した、手作りと思われるそれは。

オレンジ色の、やはり…暖かい光を放って。
見る者を、神聖な気持ちにさせる。


心が洗われるような…感覚だ。




あと…1か月もしないうちに、クリスマスが…やって来る。


恋人ができて、初めての…クリスマス。



その頃にはきっと、少し雪が積もっていて…、
赤と緑のコントラストに、イルミネーション。

それらをより美しく、演出するのだろう。




「プレゼント…何がいいかな。」


そんな呟きも…
閑散とした冬の空に、虚しく消え入るだけ。



だって、会えるかどうかも…わからないじゃない?




暖房とコーヒーのせいで、顔が…火照って来る。



「……疲れたな……。」

一体、何に?

今日という1日。それだけでは…ないのかもしれない。

胸のずっと奥の方で…燻り続けている、悶々とした…感情的。


もどかしい距離の、恋愛。



会いたい、ただそれだけなのに……
どうしてこんなに、難しいことなんだろう。





瞼が次第に…のし掛かる重力に耐えられなくなって。

シートを倒し、仰向けになったまま、ぎゅっと…目を瞑った。




視界は…真っ黒。

けれど、今でも外に降り注いで居るであろう粉雪が…情け容赦なく、私に刺さるようにして…次から次に落ちて来るような…


そんな感覚に、襲われた。