ゆきんこ




長い長い…、1日だった。

それはまるで、冬の夜のように…なかなか明けない、1日。




神経を尖らせ、目を見張って運転してきたツケが…回ってくる。


帰路につき、ようやく街中まで…来た頃。


瞼が少し…重たくなった。



いつの間にやら、さっきまでの吹雪は去り、ふんわりとした小さな雪の粒へと姿を変えている。

国道沿いの店のあかりが、ボンヤリして見えた。


前を走る車が、方向指示器をあげれば…
思わず、同じ方向へと曲がろうとしてしまう。



今度の敵は、雪では…ない。
ヒトの生理現象だから…逆らうのが困難なものだ。


信号待ち。
後続車のクラクションで…、ハッと我にかえる。


警鐘を鳴らされた…感覚だ。


丁度行く先に…、コンビニの看板が見えた。



これ以上、走り続けるのは…危険だ。

心身共に疲れ果てていることを、今更ながら…自覚した。





これで東京まで行けるだなんて。
よく…思えたもんだ。