先生や友達と別れを告げて…、
待ってくれていた後輩から、大きな花束と色紙をプレゼントされると……。
私と咲は、またまた号泣した。
一方の文人も。
バスケ部からもらったサインボールを抱えながら、女子生徒に囲まれて……
身動きとれなくなっていた。
「うわ~…、モテてるし、あいつ。いーの?幸。」
「……最後だもんね。みんな想いをぶつけたいんだよ。」
「………。そうだよなぁ……。」
文人待ちで、しばらく咲と立ち止まっていたところで……。
「福嶋さん!」
遠方から……名前を呼ばれた。
「………?」
手を振り、こちらに向かって駆けてくるのは……。
「……楢崎さん……?」
何故か……、
楢崎景であった。
「……良かった、間に合って!」
息を切らして、苦しそうに肩を上下させる楢崎。
「……えっと……。」
そんなに急いで…、一体何事?!
「……野間さん。ちょっと福嶋さんと話していーかな。」
「………。どうぞごゆっくり。幸~、私先に行ってるわ。」
「…う、うん!」
しばらくすると。
文人が咲に駆け寄ってきて……、
チラチラと、こっちの様子を気にしていた。
きっと咲に説得させられたのだろう。
「俺も先に行ってる!」
後ろ髪ひかれるようにして…
2、3こちらを振り返りながら。
その背中は小さくなっていった。


