「……諦めるのは簡単。咲の言う通り……私は勝負もできなかった。だから…、咲くらいはさ、ちゃんと真っ向から向き合って欲しい。」
「………。アンタがそれを言うの?新野の好きな女は……幸かもしれないっていうのに?」
「………。私には、文人がいるから。」
「…………。」
「……もう……、関係ないよ。」
「…………。……そう。アンタの気持ちはよ~くわかった。そんな顔しておいて、まだそんなこという奴に……、新野は譲れない。」
「……うん。」
「…後悔したって知らないから。」
「……うん。」
「……でも!どういう結果になっても……、恨みっこ無しだよ。」
「……咲……?」
「恋は恋!友は友!幸と友達やめようだなんて…サラサラ思ってないから!」
「……、咲ィ~……」
涙が……ぽろぽろと溢れ出た。
「…ハイハイ、ストップ。俺の女これ以上泣かせないでくれる?」
いつの間にか、教室に戻ってきた文人が………
背後から、私の首元に…腕をまわす。
「幸、カラオケまで一緒行こう。」
「ちょっとぉ、私は?!」
「お前、帰るんじゃないの?」
「……まだ帰んないよ。てか…、なによ、アンタも少しは私との別れを惜しみなさいよ。」
「……寂しくなるな。」
「……うっわー…、なんかムカつく!!」
「……いーじゃん、俺ららしくて。」
「……まあ……、それもそうか。泣いて抱き合うくらいならこの方がマシね。」
「………。どれ、行こうぜ、幸。」
「…待てっての。私も行く!」
私達3人は……
最後まで私達らしく……。
教室を、後にする。
咲が先を歩いて、私と文人が手を繋いで……
後を歩いた。
「そーだ、写真撮ってもらおうぜ。」
文人の提案で……
校舎の前で3ショット。
「この3人で写るのって初めてじゃん?」
……うん、咲の言う通り。
ふざけてばっかりの私達だったけど。
何故かこの瞬間だけは…、卒業生らしく、キリッとした姿を決めこむ。
間違いなく、宝物の1枚に……なるだろう。


