ゆきんこ




廊下に整列し……




体育館へと向かう。




とうとう、この時が……きたのだ。







入場待ち。



ヒソヒソ声で話す生徒達。




次第に緊張感が高まり……




私は視線をキョロキョロと移す。




咲は……、


さっき言っていたように、緊張の面持ちで……

誰ともしゃべらずに、何やら考えこんでいた。




一方の文人は……




目が合うなり、ニカッと笑ってピースする。




……余裕だなぁ。




ちょっぴり安心して、視線をずらしたところで…。




「………!」





じっ、と私を見つめる瞳に……





気づいてしまう。











楢崎………。







彼女は……



笑うわけでもなく、蔑むでもなく、




ただ、純粋な瞳で……



真っ直ぐに私を見てるから。







そのまま直視できなくて、私の方から先に……


その視線から逃れた。







……なんで?




なんで私を見てるの……?