ゆきんこ

……と。




その時だった。




「………え？」




文人の顔つきが……



一変したのは。




「………？」





彼の視線を辿って……




私は、ある事に気づく。







遠くに見えるバス停。




バス待ちの乗客がたむろするその中に……





「……新…野？」




新野の姿があることに……。





「……なんで、あいつがここに？」




苛立ちを見せる文人に、私は彼の手を引く。






「……ちょっとその辺ブラブラしてから帰ろう？」



「……は？」



「…いいから、行こ。」





けれど文人は……
そこから、動こうとはしない。




「……お願い、文人…。」





「お前が逃げるなら…、俺が話つけてやる。」




話って……、



何を言う気？






「…待って。……よく見てよ。」






新野は……、



一人じゃない。




その傍にいるのは……、




背を向けているから、顔は分からない。


ほっそりとした長い足……。




サラサラの髪。




新野が笑顔を向ける相手……。




それが誰であるのかなんて、



一目瞭然で………。







「………。だって、別れてんだろ？あの二人。」




「ううん、多分…ヨリ戻したんだと思う。」




「……けど……。」