永遠〜あなたに会えて幸せでした〜《実話》

大塚さんが海から上がって車に戻ってきた。

『すごいうまいですね！私もやってみたいって思っちゃいました』

「全くうまくはないよ。波乗りはすごく奥が深くて、毎回違う波が来る。その波を逃したらそれと同じ波とは二度と会えないんだよ。その時の地形や風向きや潮の流れで全く波は変わるから。だからいくらやってもうまくはなれないんだ」
サーフィンの事を全く知らない莉亜に波乗りの難しさを教えてくれた。


同じ波には二度と会えない。だから楽しいんだって。
莉亜はそれを聞いたらもっと興味が湧いてきた。

何かに必死になる気持ちなんて忘れかけていたから。
自分の為に、自分を見直すチャンスだと思った。

大塚さんは莉亜にこんな事を言ってきた。

「海に来ると自然に戻れる気がするんだ。嫌なことがあってむしゃくしゃしても海に浮かんでると自分がちっちゃく感じる。
それでまた気持ちを切り替えて頑張ろうって思える。今まで何度も海に助けてもらった」

莉亜は昔を思い出した。
苦しくて辛くて生きることの意味さえ見失いそうな時、いつも海を見てきた。

海を眺めて涙を流すといつの間にかまた頑張ろうって励まされてきた。