-湊 side-
親父に言い渡されてから、1週間。
今日が出発の日……。
とゆうか、女 永村 湊を捨て、男 水沢 湊として生きていく、最初の日。
ーコンコンっ
私の部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「湊、私だ。
入っていいか?」
……親父か。
「あぁ、どうぞ。」
親父……なんかやつれたな……。
「準備は……できたか?」
聞かなくても分かるだろ。
この殺風景な部屋を見れば。
「……あぁ、できてる。」
「髪も……短くしたんだな。」
今までの、ロングヘアーで男子校に通う訳にはいかないだろ。
だから、ショートヘアーにした。
そして、雰囲気も変えるために真っ黒だった髪を金髪にした。
「もう、車の手配はしてある。
玄関にもう来てるだろう。」
「あぁ、わかった。
お世話になったな、親父。」
「……っ?!」
親父が目を見開いて、私を見る。
私が礼を言うのがそんなに珍しかったのか?
「じゃ、元気でね、親父。
叶多と、お母さんにも、よろしくね。」
ーバタンっ
……と、ドアが閉まる音が聞こえた。
これから私は……
いや、俺は水沢 湊だ。