「…も……いいよ」




















舞い上がる風の中
耳をかする小さな声








ゆっくりと顔を上げると


俺の手に手を重ねて恥ずかしそうに頬を染める亜依が見えた















「……亜…依?」










コレって…















「…あの…ね…初めから…好きじゃないのも…知ってたの

あたし…トロいし…可愛くないから…うとまれるのも仕方ないから…

でも…」









“でも”





亜依の口からこぼれる小さな言葉

その続きを聞きたくて顔を近づけたその瞬間














唇に微かに
甘い熱を感じた





















「…亜……?」


「……っ…だから…っ…もう…いいの…」















目の前には
真っ赤で涙目の亜依


握り締めた手は
小さく震えてて

でも
離れないようにと強く繋いだままで…
















なぁ
コレって……






そう思っていいんかな




もう一度
ここからやり直せるって…




また
隣に……

亜依の隣にいられるって

そう思っても…いいんだよな?













小さな身体を
腕の中へと導いて

そのぬくもりをしっかりと抱き留める





指に絡む細い髪も
素朴なシャンプーの香りも


ただ愛しくて…












「…亜依…俺のこと好き…?」













そんな俺の呟きに
亜依は


ただ小さく











「…………好き…」








ただ小さく
そう答えてくれた