矢車の夢




 あの甘味処での事以来、沖田さんとは言葉を交わすこともなければ目を合わすこともない。
 お互いがお互いを避けているせいで、会うことすら稀だ。

 そんな中、近藤さんが隊士募集のため江戸に向かい、それに伴い何人かの幹部が不在のため、残った幹部がその隊を隊長を兼任、あるいは代理を務めることとなった。
 そのため、その人選の会議となったのだが、

「…」
「…」
「っつーわけで総司、お前は二番隊の隊長を兼任、深山はその補佐についてくれ」
「お言葉ですが土方さん。二番隊には副隊長もいますし、私は不要では?」
「不服だけど右に同じ。俺一人で十分ですよ、土方さん」
「副隊長は副隊長で仕事があんだよ。それに総司は唯でさえ二つの隊を持つんだ。全部取り仕切れるわけねえだろ。師範の仕事もあんだ。他に手が空いてる奴は深山くらいだ」
「なら私だけで二番隊を見ます」
「却下だ。確かにお前の腕は見事だが、それだけで二番隊の奴らがお前に従うとでも?そもそも二番隊は永倉が隊長なだけあって、血気盛んな奴らばかりだ。私闘でも起こしてみろ。お前を介錯するぞ」

 意見は受け付けるが異論は認めねえ、と土方さんは此方を睨みつける。なるほど泣く子も黙る鬼の副長だ。
 それに、と土方さんは付け加える。

「喧嘩してるので一緒に仕事したくありません、なんて通じると思うなよ」
「…」

 副長なだけあって、お見通しのようだ。