そう答えれば、沖田さんは今度は本当に微笑んだ。心の底から嬉しそうな笑みを浮かべる。無邪気そうな、でもどこか薄ら寒い。
思わず沖田さんと距離を取ろうとする、がここは座敷で後ろには衝立。逃げ場はない。唯一ふたりの間を遮る足の低い机だけが救いだ。
「本当に、好きだよ、君のこと」
その性格も考え方も何もかも、俺の半身みたいだ。
沖田さんが身を乗り出してしまえば、その机も大した障害物にはならなかった。
着物の衿を掴まれたと思ったら、沖田さんの顔が目の前にあった。
ぬるり、と生ぬるいものが口の中に入ってくる。
不快感に肌が粟立ち、口の中の異物を追い出そうと思い切り歯を立てた。
「…ッ痛…ひどいな」
「…っなにを…!」
「何って接吻?」
「…労咳が伝染ったらどうしてくれるんですか」
「大丈夫だよ、この程度で伝染ったら新選組は崩壊してる。それに健康な人間なら伝染ったところで発症しないよ」
投げやりな口調でそう返された。
もう顔は笑ってない。むしろ今にも泣くのを堪えるようなしかめっ面だ。
――被害者はこっちだというのに、何被害者面してるんだ。
