「深山」
お団子、食べに行こうか。
そんな言葉について、久々に沖田さんと甘味処へ向かった。
池田屋事件、禁門の変とが立て続けに起きたこと、その後の処理など、いくつもの仕事に追われた(主に幹部の人たちが)ため、こうして甘味処に足を運ぶのは随分と久しぶりだ。
注文したおはぎをつつき、お茶で一息ついたとき、たわいのない話から、沖田さんはようやく本題に入った。
「君には話しておかないと、と思ってさ」
「なんのことでしょう?」
「池田屋のときのこと」
「三ヶ月も前のことなんて忘れてしまいましたが」
「君がそう言うなら別にいいけど、…労咳(肺結核)の病状はそんなに進んではないよ。あのときは免疫力が落ちて少し熱が出ててね。そのせいだと思うよ、喀血したのは」
「…そんなこともありましたね」
「…本気で忘れてたとかいわないよね?」
沖田さんが少し焦ったような表情で問い詰める。
珍しい顔だ。
少し、いたずらごころに火がついた。
「ま、まあ。あのときは結構な乱戦でしたから」
「え、ちょっと待って。嘘でしょ」
「嘘です」
「俺がどんだけ悩んでたか――…って」
