ご満足いただけましたか、斉藤さん、と嫌味ったらしく聞けば、斉藤さんは納得したような顔で頷いた。
原田さんと永倉さんは、何とも言えなさそうな顔でこちらを見ている。
元からいいとは言えないが、さらに居心地の悪い空間になってしまった。
「では永倉さん。見聞きしたことは全て他言いたしませんからご安心を。かといって、嘆願に名を連ねることもしませんので」
「ああ、わかってる。他言しないだけでありがてぇ」
では、と腰を上げ、永倉さんの部屋を後にする。
原田さんがまだ何か言いたそうな顔をしていたが、とにかくここを去りたかった。
部屋を出る瞬間、ちらりと見えた斉藤さんの顔は、珍しく楽しそうに笑っていた。
すたすたと自分の部屋に歩き出せば、少しも経たないうちに足音が後ろから一人分聞こえた。
振り返れば、斉藤さんがいた。
「深山」
「…まだ何かお話が?」
「お前は、沖田の剣を変えるかもな」
それだけだ、と斉藤さんは踵を返し、再び永倉さんの部屋へと向かっていった。
「…どういう、こと」
澄み切っていた剣は既ににごりきっている。そんな剣がどう変わるというのか。
私はただ斉藤さんの背中を見送るしかできなかった。
