…盆休みの朝。

目を覚ますと、愛する妻が台所で何かこしらえていた。

翡翠の好きな生クリームの香り。

洋菓子か。

きっと今日の三時の茶の時間にでも、冷たく冷やして饗されるに違いない。

そう思っていたら。

「あ、すー、いい所に起きてきたね」

目覚めの口付けよりも先に。

「これを雛菊さんに届けてあげてくれないかい?ちょっと早いけど…すーと一緒の誕生日だろ?彼女」

そう言って妻はニコリと微笑んだ。